バタフライで使う筋肉は?水泳で筋力をつけるメリット5つ

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バタフライで使う筋肉は?水泳で筋力をつけるメリット5つ

バタフライで筋肉を鍛えて、筋力をつけたいという方は多いのではないでしょうか。4泳法の中でも、特に運動量が多いと言われるバタフライですが、泳ぐ際にどの筋肉が使われているのかを意識することはとても重要です。

両腕で水をかくストロークや、ストロークのタイミングに合わせて脚で蹴る2つのキックでは、どんな筋肉が使われているでしょう。ここでは、8つの筋肉の働きや水泳で筋トレをするメリットについて解説しています。

バタフライでよく使う筋肉とは?

バタフライで泳ぐためには、両腕で水をかくストロークと両脚で水を蹴るキックが重要になります。ストロークとキックにはどんな筋肉が使われるのか、その働きとともに解説していきます。

ストロークに必要な筋肉

バタフライのストロークでは、プルの際に腕で水をかきながら後ろに押し出し、リカバリーで腕を斜め後ろに引き上げてから、水面スレスレで前方に移動させて入水します。その時、主に次のような筋肉が使われます。

バタフライのストロークでよく使う筋肉の図

三角筋(さんかくきん)

三角筋とは、腕や肩を動かす動作に関係している肩の筋肉です。 その名の通り、鎖骨・肩甲骨・上腕骨を覆っている三角形の筋肉によって、腕が上下前後左右に動くことから、ストロークのほとんどの動きで使われます。

広背筋(こうはいきん)

広背筋とは、引き寄せる動作や、腕を内側に回す内旋という動作に関係している背中の筋肉です。 水をかくために腕を上体に引き寄せるほか、手で∞を描くように水をかくスカーリングの際に使われます。

上腕三頭筋(じょうわんさんとうきん)

上腕三頭筋とは、押す動作に関係している腕の筋肉です。 プルで水を後方に押し出して、浮き上がる際に使われます。上腕三頭筋を鍛えることによって、いわゆる「二の腕のたるみ」を防ぐことができます。

僧帽筋(そうぼうきん)

僧帽筋とは、肩甲骨を持ち上げる動作や、内側に寄せる動作に関係している、別名「肩こり筋」と呼ばれる背中の筋肉です。 リカバリーの際、腕を後方に引き上げたり、前方に移動させる際に使われます。

キックに必要な筋肉

バタフライのキックでは、両脚を引き上げて膝を曲げ、水を押すように蹴り込むことにより、推進力を得て前に進みます。その時、主に次のような筋肉が使われます。

バタフライのキックに必要な筋肉の図

大臀筋(だいでんきん)

大臀筋とは、股関節の伸展によって、脚を後方に引く動作に関係している筋肉です。いわゆる「臀部」と呼ばれるお尻の筋肉のことで、キックの際に脚を引き上げるために使われます。

腓腹筋(ひふくきん)

腓腹筋とは、膝を曲げる動作や、足の関節を曲げる動作に関係している「ふくらはぎ」の筋肉です。 キックを行う前に素早く足を引いて、つま先を伸ばして水を効率的に蹴るために使われます。

腸腰筋(ちょうようきん)

腸腰筋とは、太ももを引き上げる動作や、骨盤を立てる働きに関係している筋肉です。 キックの際に脚を蹴り下げるほか、体を水平に保つ際にも使われます。

大腿四頭筋(だいたいしとうきん)

大腿四頭筋とは、股関節を曲げる動作や、膝を伸ばす動作に関係している太腿の筋肉です。 キックの際に膝を振りおろして、水を蹴るために使われます。

そのほかに、リカバリーの際、上体を起こすために大胸筋(だいきょうきん)が使われています。

水泳で筋力を鍛える5つのメリット

筋肉が鍛えるためにはさまざまな方法がありますが、水泳は水の中で体を動かすことで、ほかの運動では得られない次のような5つのメリットがあります。

1.エネルギーの消費量が多い

水泳は、ほかのスポーツに比べて比較的、消費エネルギーが多い運動で、きつさや体への負荷の高さを示す「メッツ」という数値が高いことでも知られています。

メッツ(METs)とは
Metabolic Equivalent(代謝当量)の略で、安静時を1とした時、何倍のエネルギーを消費するのかを数値化した身体活動の強度を表す単位。
メッツをもとに、以下の計算式で算出されるエクササイズ(EX)という単位は、国際的にカロリー消費量や身体活動量の算出の指標として使われています。
[エクササイズ]=[メッツ]×[活動実施時間]

バタフライは次の一覧から分かるように、ウォーキングやジョギングなどの一般的な運動や、ほかの3つの泳法に比べてメッツが高いという特徴があります。

活動内容メッツ
バタフライ 全般13.8
平泳ぎ 全般、トレーニング・競技10.3
クロール(速いスピード)10.0
背泳ぎ 全般、トレーニング・競技9.5
ジョギング 全般7.0
運動目的のウォーキング(ほどほどのペース)4.8

参考:国立健康・栄養研究所「改訂版 身体活動のメッツ表

筋肉は、負荷をかけて疲労と回復を繰り返すことによって鍛えられるため、メッツが高いバタフライは筋力トレーニングに効果的な運動だといえます。

2.体への負担が少ない

水泳は、時間をかけて筋肉に負荷をかける有酸素運動のため、泳ぎ方やスピードによって負荷を調整することで、激しい運動が難しい人でも無理なく行うことができます。

ただし、有酸素運動では筋力アップは可能ですが、筋肉が大きくなる訳ではありません。筋肉を太くする筋肥大を目指すなら、短時間に集中的に体を動かす無酸素運動が効果的なことから、運動強度が高いレペティションなどのトレーニングを取り入れるといいでしょう。

レペティションとは
repetitionは「反復」という意味で、水泳の場合は、「全力で泳ぐ」→「休息をとる」というトレーニングを繰り返し行うことをレペティショントレーニングといいます。短い距離を本番のレースに近いスピードで泳いだら、十分に休息を取った後で、次の泳ぎに移るのがレペティションのポイントです。

3.水の抵抗や水圧により筋力がアップする

陸上で運動する場合は空気抵抗を受けるのに対し、水中ではより大きな水の抵抗を受けるため、泳ぎを続けることで自然と筋力がアップします。

水中の抵抗には、主に次の3つの種類があります。

水中で受ける3つの抵抗

  • 形状抵抗:水中を進む際に体が受ける抵抗
  • 摩擦抵抗:水と体の表面の摩擦によって起こる抵抗
  • 造波抵抗:水面にできた波によって起こる抵抗

また、陸上で受ける気圧に対して、水中で受ける水圧の方が高いため、体を動かした際に負荷がかかることによって筋肉が鍛えられるほか、意識的に呼吸を行って必要な酸素を体内に取り込もうとすることで、心肺機能の強化にもつながります。

4.全身運動によってバランスよく鍛えられる

走ったり跳んだりする陸上競技や、ボールを投げたり蹴ったりする球技などと違い、水中では浮力が働くことから、全身の筋肉を使った動きが可能になります。

特に、バタフライでは、両腕で豪快に水をかくストロークや2種類のキックのほか、スタートやターンの際に行うドルフィンキックなどによって、ほかの運動では動かすことがない全身の筋肉を効果的に動かすことができるのです。

5.ケガのリスクが低い

水泳は水中で行う上、陸上のスポーツのように極端にスピードが出ないため、不慮のケガが起こりにくいといえます。また、集団で行うチーム競技ではないことも、ケガが少ない要因の一つです。

だからといって、全くケガがないという訳ではありません。バタフライでは、スイマーズショルダー(水泳肩)という肩の腱の炎症や、うねりやドルフィンキックによる腰椎の過伸展で腰痛を起こしやすいことから、体への負担が少ないフォームを心がけしましょう。

こちらの記事ではバタフライの泳ぎ方について解説していますので、腕や脚の動きの参考にしてください。

泳ぐ前には準備体操を忘れずに

バタフライで泳ぐ前には、必ず準備体操を行って筋肉をほぐしておくことが大切です。準備体操には、水泳中のケガを防ぐほかに、こむら返りの予防する目的があります。水泳中に脚がつることによって、溺れてしまう危険性があるため、泳ぐ前にしっかりとストレッチを行って筋肉をほぐしておくことが大切なのです。

また、水の中にいるとはいえ、泳いでいると大量に汗をかくため、事前にしっかり水分補給をしておくことが大切です。特に、スポーツドリンクにはミネラルが含まれることから、ミネラルバランスの崩れによるこむら返りを防ぐことができます。

泳いでいて脚がつりそうになる人、脚がつりやすい人は、こちらの水泳をはじめる時に気をつけることをお読みください。プールの中で脚がつってしまった時の対処法を紹介しています。